剱岳チンネ左稜線
20250620-22 剱岳チンネ左稜線
20日)室堂→剱御前小舎→長次郎谷出合→熊の岩
21日)熊の岩→池ノ谷乗越→三ノ窓→チンネ取付き→チンネ左稜線→池ノ谷乗越→熊の岩
21日)往路を戻る
しんちゃんとリッキー、今年に入って積雪期のアルパイン訓練を共にしたメンバーで。チンネも経験値を積むため、あえて積雪期を選んだ。

初日) 室堂は気持ちの良い晴れ。天然水を補給してスタート。雷鳥沢手前からアイゼンを付けた。

別山乗越を越え、剱沢を下り、長次郎谷出合いから高度差700mの熊野岩までの急登。



分かってはいたが、熊の岩が見えてからが長ーいのぼりで、いつの間にかガスにも包まれ、冷たい風が沢を吹き荒んで、各自5L程の水が入った25kg強の歩荷が体にも心にも堪えた。到着は18時になった。雪を整地しテントを2つ張った。

翌早朝、八ツ峰の稜線を赤紫に染める太陽を拝んだ。天気に恵まれた。


長次郎の右股を、よりギアの上がった急登をピッケルを刺し、池の谷乗っ越しへ。すでにクレバスも発達してて、雪渓通しで通過できる日も短いと思われた。



乗越から池の谷ガリーの数十メートルは雪がついていたが、すぐに雪解け後のガレガレ増し増しの下りになる。三の窓到着。ここでガチャを身にまとい気合を入れた。



チンネの取り付きは三の窓から見えていた。残雪の急斜面を下りながらのトラバースは、アイゼンとピッケルが必須だった。気になっていた左稜線取付きのシュルンドも問題なく登攀開始。15.16.17.18



1P目は私から、2P、3P目、しんちゃん、リッキーとリードする。ピッチをこなしていくごとに、高度感もグングンと上がる。


右手に小窓の王や発射台を見下ろし、見上げたところにジャンダルムが聳える。左手にクレオパトラニードルの尖塔が現れ、そして目の前にチンネの鼻が迫って来た。なかなかの迫力だ。




私がリードする。緊張感はあったが、難しくはなく、味わうように丁寧に登った。



そこからプラス4ピッチ、計14ピッチ程でチンネの頭へ到着。剱のでっかい岩峰に囲まれて、見下ろすと、三の窓氷河の全景から1,000m下の雪解け水たっぷりの劔沢まで見通せる。音も聞こえた。他パーティは無くチンネを独占し、アルパインを堪能した。

2回の懸垂で池の谷ガリーの途中に降りて登り返し、29 長次郎谷右股を下る。途中大きく割れたクレバスを慎重に避けながら。

テン場に戻り、なけなしの焼酎のお湯割りで無事完登を祝杯。お湯はぬるかったが美味かった。翌日、CフェースまたはDフェースをやる予定をしていたが、取付きのシュルンドは大きくてリスクがあり、また昨日のチンネ完登でお腹も一杯。帰りの体力と時間を考慮し、中止にした。

熊の岩からそんなに下らなくても良いのにと思いながら、グングンと高度を下げ、長次郎谷出合いから長ーい剱沢をもくもくと登り返し、剱御前小舎で雷鳥に出合い、ひととき癒された。





また雷鳥沢のテンバまで降りて、室堂までの階段路を修行僧のように登った。ホントによく歩いたが実感だった。室堂でホタルイカのかき揚げ蕎麦を食べた。下界の味は心と体に染みて美味しかった。

(記・写真:C班 M)