「新入会員安全講習」受講生10名 報告

背景:初級登山学校では安全教育を行いますが入会時期により初級登山学校に参加できない方が生じます。組織山岳会の使命として、入会者全員に最低限の安全教育を行うため、「山の遭難事故防止、ハイキングの事故防止」の講習を行います。

対象者:入会3ヶ月以内に初級登山学校に参加できなかった方。年3回開催予定

第1回:2021年7月3日(土)20時から21時オンライン講習 講師:A班M.TとJ.Iの2名
    受講者 2020年1月~2021年6月に入会し初級登山学校に参加されなかった方。 12名が該当。7月3日は10名が受講

講習内容:zoom meetingのオンライン講習形式で開催しました。60分

1.山での遭難事故防止について  
  題材:六甲山西山谷での行方不明死亡事故が私たちに問いかけるもの
  ・無届け登山の危険性
  ・単独行の危険性
2.YAMAP 見守り機能(無料)の紹介 https://yamap.com/magazine/16436
3.遭難捜索ヘリサービス「ココヘリ」(有料)の紹介(動画3分15秒)https://yamahack.com/2672#content_150152_0_5
4.豊中労山における事故発生時の緊急連絡網
5. 山行計画書の提出方法
6. 大阪府勤労者山岳連盟における事故の記録から学ぶこと
  ・下山中の登山道での転倒事故が多い
7.ハイキング時の転倒事故防止
  ・ザレ場・ガレ場を安全に歩く極意
  ・膝や筋肉に負担をかけない方法は?

■講師コメント

 今回の講習で「大阪労山ST会の六甲山西山谷への単独行・無届け登山、死亡遭難事故」を紹介させて頂いた訳は、次のことを知って頂きたいからです。
1)『山岳遭難であっても、遺体が発見されなければ多くの場合、「失踪」と同じ扱いになるため、生命保険金を受け取ることができず、遺産相続もできず、7年間は生命保険料や住宅ローンも払い続ける必要がある。 
2)自分から進んで死に向かう登山者はいない。「この状況では大丈夫ではない」と本人があるいは会が 判断できるというところまで対策をしないと同じ事故を繰り返す可能性がある。 山行計画書提出の義務化、会として山行計画の把握が大事である。
3)身近な六甲山であっても警察・消防70名、大阪府連盟傘下の山岳会から累計約400名で捜索したが発見にいたらず。1ヶ月後に道迷いした登山者に偶然発見された。
4)紹介事例は10年前のものだが、現在ではYAMAPの「みまもり機能」や「ココヘリ」の活用をお勧めします

■受講生感想(2020/11入会)
 今回の講義を受講して、初めて北アルプスを登った時の事を思い出しました。会社の同僚に誘われて、本当に軽い気持ちでの山行でした。初めて登った山は燕岳でした。燕山荘からの燕岳の眺めは、想像以上に素晴らしく、振り返ると、槍ヶ岳!。初心者の私は、山の魅力にはまってしまいました。しかし、同時に初めての山行は山をなめており、全くの準備不足から、膝痛がつらく、今思うと事故に至らなくて本当に良かったと考えています。講義の中で、被害に遭われた方は準備不足であったことが一因として挙げられており、自分自身と全く同じ境遇でした。
 また、最近では新聞、ニュース等の情報で、遭難に関するリスクを感じていましたが、身近な六甲でもこのような事象が起こることを教えていただき、本当に身が引き締まる思いでした。最後になりますが、このような講習の機会をいただいたことに感謝しますともに、実事例を基にドラゴン桜の阿部寛さんばりに熱く説得力のある講義を行って頂きました講師に改めて感謝を申し上げます。東大は目指しませんが、安全で楽しい山行を今まで以上に意識して目指します。

■受講生感想(2021/4入会)
 2011年に起こった労山メンバーの遭難事故に始まり、無駄のない実践的な内容にあっという間の1時間でした。やはり当時実際に救助に当たられた方のお話には引き込まれるものがあります。特に安全対策で参考になったのは、発信機やスマホを利用した対策です。先ず「ココヘリ」ですが、以前から知っていたのですが判断がつきかねていました。個人でも山に登る自分には必要と教えて頂き、既に申込みしました。
 次にYAMAPの見守り機能、これはこれから利用しようと思います。事故発生時特に重要な登山計画書も、メールを利用し必要最小限の内容でより簡便に提出し易くされている点に感心しました。緊急連絡網も、日帰り、泊まり山行共に完備されています。
 最も感心するのは、それら全ての安全対策はお世話頂いている会員の方々の手弁当によって運営されていることです。その責任感とご苦労には本当に頭が下がります。今回の講習会は、豊中労山会員による安全に対する思い備えを理解するきっかけになりました。

■受講生感想(2021/6入会)
4月の公開ハイクに参加させていただいて以来、入会させていただいたものの会の雰囲気がわからないままでしたのでZOOMではありますが顔を合わせることができとても良い機会となりました。自己紹介では皆さんの山に向き合う様々な姿が垣間見れたのも良かったです。単独山行の危険性は実際起こった事故でどのように捜索されたのか非常にわかりやすく説明していただき参考になりました。
 登山届けは未提出だと行方不明時にいかに大変か、捜索もしていただけないことを知り届出の重要性がよくわかりました。沢登りや雪山はやはり危険が付き物で出来れば3人以上で行動することを心掛けていますがココヘリは気になっていました。検討したいと思います。
 今までは他人の計画に便乗するという山行ばかりでしたがもう少し積極的に山行計画について考え登山計画書を自ら作成することも今後の課題です。山について考える良いきっかけになりました。

【報告 豊中労山 A班 恒吉正伸】